Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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 このブログの管理人のひとりであるshigeyukiが運営していたホジスンのファンサイト「The Borderland」が、インフォシークのサービス終了に伴って、閉鎖されることになりました。長い間放っておいたため、直前まで気づきませんでした(笑)。
 近いうちに移転しようとは思いますが、しばらくはネット上から「The Borderland」は消えます。また再開する時には、こちらで告知します。リンクを貼ってくださっているかた、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
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「The Collected Fiction of William Hope Hodgson, Volume 5:
The Dream of X and Other Fantastic Visions」

 がNight Shade Booksよりようやく刊行されたようですね。
 発売日が延びに延びて、もしかしたらこのままフェードアウトかとさえ思ったのですが、初のホジスン全集(選集というべきかもしれません)がこれで無事完結しました。目出度い。
 現在は版元に予約していた人の分のみの出荷という状態のようで、僕はアマゾンに予約を入れていたのでまだ手元には届いていません。同時に全集の第二巻の二刷が刊行されたようですから、余程のことがない限り、いずれ手元に届くとは思いますが、まだ一抹の不安があったりなかったり。この巻には、興味深い作品が多数収録されているので(よい作品という意味ではありません)、刊行が待ち遠しかったです。とりあえずとても楽しみにしています。
 
Now, on the following evening, I went somewhat early to the gap; and lo! who should be standing in the gap, talking to the Lady Mirdath; but a very clever-drest man, that had a look of the Court about him; and he, when I approached, made no way for me through the gap; but stood firm, and eyed me very insolent; so that I put out my hand, and lifted him from my way.
And lo! the Lady Mirdath turned a bitterness of speech upon me that gave me an utter pain and astonishment; so that I was assured in a moment that she had no true love for me, or she had never striven so to put me to shame before the stranger, and named me uncouth and brutal to a smaller man. And, indeed, you shall perceive how I was in my heart in that moment.
And I saw that there was some seeming of justice in what the Lady Mirdath said; but yet might the man have shown a better spirit; and moreover Mirdath the Beautiful had no true call to shame me, her true friend and cousin, before this stranger. Yet did I not stop to argue; but bowed very low to the Lady Mirdath; and afterward I bowed a little to the man and made apology; for, indeed, he was neither great nor strong-made; and I had been better man to have shown courtesy to him; at least in the first.

****************


 次の夕方、私は少し早い時間に抜け道へ行ってみた。ところが何と、誰かが抜け道に立って、ミルダス嬢と話をしているではないか!それは身だしなみの良い男で、判事のような雰囲気を纏っていた。男は、私が近づいて行って抜け道を通ろうとしても、道を譲ろうとはしなかった。そればかりか、じっと不動だにせずに、私を蔑んだような眼差しで見詰めるのだった。それで私は手を伸ばし、彼を押しのけて道を空けさせた。
 ところがミルダス嬢は私に向かって非難の言葉を投げてきた。私は驚き、酷く傷ついた。それで私はとっさに、彼女は私を愛しているという訳ではないのだと確信した。そうでなければ、自分よりも小柄な人間に対してそれは余りに粗暴で卑怯じゃありませんかと、彼女が他人の前で私を恥じ入らせるようなことを言う筈はなかった。その時の私の心情を察して欲しい。
 しかし、ミルダス嬢の言う事にも一理あるということは認めざるを得なかったし、男として、紳士らしい振る舞いをすべきだったのかもしれなかった。さらに言えば、ミルダス嬢にしたところで、彼女の真の友人であり、従兄でもある私を本気で貶めようとは思っていなかったに違いない。だから私は弁明することはせず、ただミルダス嬢に向かって深々と頭を下げた。それから男の方にも少し頭を下げ、謝罪した。実際、男は大きくも頑強でもなかった。私は彼に対して、紳士らしく、礼儀正しい振る舞いをすべきだったのだろう。少なくとも、初対面の時には。

"The Night Land"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Transrated by shigeyuki


 このブログは、基本的にホジスンに特化しているわけですが、たまにはその周辺の作家などのことも、ちょっとホジスンと絡めながら、話題にしましょう。

 「不思議な物語(上・下)」 E.ブルワー=リットン著 
 世界幻想文学大系32 国書刊行会刊

 を読了しました。

 正直、あまりに饒舌なので、結構読むのが辛く、半ば斜め読みしました。読む辛さはユイスマンスといい勝負ですね。哲学的な考察などには頷けるところも多く、ストーリー自体が面白くないわけではないのですが、神秘学への心構えというか、立場というか、ともかくそうした部分が今読むと虚しいほどクドくて、なかなかしんどいです。ニューサイエンスとオカルトの橋渡しのような感じといえばちょっとは分かるでしょうか?
 ただ、ストーリー自体は、ラブロマンスです。
 ブルワー=リットンは、日本ではリットン調査団の団長の父として有名ですね。また、エリファス・レヴィなどの錬金術師との絡みでも知られています。ただ、これなどは、僕は多分、政治などにも関わっていた有力者であり、神秘学を趣味としていたリットンに、詐欺師(と言っていいでしょうね)のレヴィが取り入ったのだと思っていますが。
 リットンの小説は、早くから日本に紹介されていて、昨日触れた「冒険世界」のどの号かにも、「幽霊屋敷」が訳出されていたと思います。曖昧な記憶ですが。
 それはともかく、この小説のクライマックスの部分を読んでいて、僕はちょっとホジスンの「ナイトランド」を思い出しました。その外に出ようとすると電気が走る光のサークルを作って、その中で大きな窯に液体を煮詰め、やがて彼方から巨大な眼や足が現れたりするシーンですね。そっくりというわけでもないのですが、ホジスンがリットンの小説を好んでいたことは確かですから、幾らかイマジネーションの上で、影響は受けているかもしれませんね。ともあれ、この辺りの小説について、僕がとても詳しいというわけでもないので、まだこれから色々と読んでみてから考えるべきなのかもしれませんが。
 

(shigeyuki)

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