Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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 以前、「漂着の浜辺から」に掲載していた「The GhostPirates」の翻訳「幽霊海賊」は、場所を替えて、こちらで連載することにしました。以前のサイトはこちら。
 これはkaneさんが翻訳したもので、少しだけshigeyukiが手を入れています。以前とは違い、共同管理しているサイトなので、双方から手を入れやすいのがいいですね。

*****************
<原文>

The Ghost Pirates
William Hope Hodgson


1.The Figure Out of The Sea


He began without any circumlocution.
* * *

I joined the Mortzestus in 'Frisco. I heard before I signed on, that there were some funny yarns floating round about her; but I was pretty nearly on the beach, and too jolly anxious to get away, to worry about trifles. Besides, by all accounts, she was right enough so far as grub and treatment went. When I asked fellows to give it a name, they generally could not. All they could tell me, was that she was unlucky, and made thundering long passages, and had no more than a fair share of dirty weather. Also, that she had twice had the sticks blown out of her, and her cargo shifted. Besides all these, a heap of other things that might happen to any packet, and would not be comfortable to run into. Still, they were the ordinary things, and I was willing enough to risk thern, to get home. All the same, if I had been given the chance, I should have shipped in some other vessel as a matter of preference.

When I took my bag down, I found that they had signed on the rest of the crowd. You see, the "home lot" cleared out when they got into 'Frisco, that is, all except one young fellow, a cockney, who had stuck by the ship in port. He told me afterwards, when I got to know him, that he intended to draw a pay-day out of her, whether any one else did, or not.

The first night I was in her, I found that it was common talk among the other fellows, that there was something queer about the ship. They spoke of her as if it were an accepted fact that she was haunted; yet they all treated the matter as a joke; all, that is, except the young cockney--Williams--who, instead of laughing at their jests on the subject, seemed to take the whole matter seriously.

This made me rather curious. I began to wonder whether there was, after all, some truth underlying the vague stories I had heard; and I took the first opportunity to ask him whether he had any reasons for believing that there was anything in the yarns about the ship.

At first he was inclined to be a bit offish; but, presently, he came round, and told me that he did not know of any particular incident which could be called unusual in the sense in which I meant. Yet that, at the same time, there were lots of little things which, if you put them together, made you think a bit. For instance, she always made such long passages and had so much dirty weather--nothing but that and calms and head winds. Then, other things happened; sails that he knew, himself, had been properly stowed, were always blowing adrift at night. And then he said a thing that surprised me.

"There's too many bloomin' shadders about this 'ere packet; they gets onter yer nerves like nothin' as ever I seen before in me nat'ral."

He blurted it all out in a heap, and I turned round and looked at him.

"Too many shadows!" I said. "What on earth do you mean?" But he refused to explain himself or tell me anything further--just shook his head, stupidly, when I questioned him. He seemed to have taken a sudden, sulky fit. I felt certain that he was acting dense, purposely. I believe the truth of the matter is that he was, in a way, ashamed of having let himself go like he had, in speaking out his thoughts about "shadders." That type of man may think things at times; but he doesn't often put them into words. Anyhow, I saw it was no use asking any further questions; so I let the matter drop there. Yet, for several days afterwards, I caught myself wondering, at times, what the fellow had meant by "shadders."

We left 'Frisco next day, with a fine, fair wind, that seemed a bit like putting the stopper on the yarns I had heard about the ship's ill luck. And yet--
* * *

He hesitated a moment, and then went on again.

*****************

幽霊海賊

ウィリアム・ホープ・ホジスン
      
   
      
 一、大海から現れたもの

 男は単刀直入に話し始めた。
  「俺はフリスコでモーツェスタス号に乗り組んだんだ。あの船にはおかしな噂がつきまとってるってことは、契約する前からも聞いちゃいたよ。でもさ、ずいぶん長いこと船にあぶれちまってたんで、さっさと海に出たくてさ、そんなつまらないことなんか気にもならなかったんだ。おまけに誰に聞いても、飯とか待遇とかはなかなかだってことだったしね。それで、いい船なのかいって聞いてみると、大抵の奴は何も言わなかったな。そいつらが話してくれたのは、あいつは縁起が悪りぃ、長い航海にゃ嵐を呼ぶ、分け前以上の荒天に遭う、なんてことばかりでね。おまけに、二度も帆柱をへし折られて、積荷まで動いちまったんだそうだ。この他にも、どの船にも起こるようなことだが、喜んで会いたいとは思えないようなことが山ほどあるっていうんだな。まあ、こんな話はどうってことはないし、寝床のためにはやばいことなんか承知の上さ。とはいっても、もしどれでも好きに選べるんだったら、他の船に乗るべきだったんだろうな。
 船に荷物を持って行ってみると、船の奴らは、残りの水夫の分の契約書も集めてしまってた。さて、『寝床』はフリスコに着いたとたんに空になっちまったんだが、一人だけ例外がいてさ、そいつは若いコクニーで、港で一人船に居残ってたんだ。後でそいつと仲良くなってから聞いたんだが、他の奴らがどうしようと給料は船を下りてから貰うんだ、なんていうんだ。
 船での最初の夜には、この船に何かおかしなことがあるってことは、他の奴らの間でも知れた話だってことがわかった。何かに取り憑かれてるってのが、さも当然だというように話すんだぜ。まあ、こいつらは冗談で片付けてはいたがね。皆そんな調子だったんだが、ただ、若いコクニーは・・・ウィリアムスっていうんだ・・・笑って冗談で済ます、なんてことはなくって、全部を本気でとってたようだったな。
 これにはちょっと好奇心をかき立てられてさ、それまで聞いてきたような曖昧な話の裏に少しは事実があるんじゃないかって考えるようになったんだ。そのうち機会があってね、ウィリアムスに、なぜ船の噂を信じるんだ、何か理由があるのかって聞いてみたんだよ。
 あいつ、最初はちょっとよそよそしくしてたんだが、そのうち気を変えて話してくれた。あんたが思っているような普通の意味では、おかしなことなんてとりたてて知らない。けれども、少々考えさせられるようなことは、たくさんある。まあ、あんたらがそれもおかしなことの内にひっくるめるならばだがな、とね。
 例えば、この船はいつもえらく長い航海に出るんだが、その度にひどい嵐に何回も遭うっていうんだ。それだけじゃなくってさ、べた凪とか向い風とかにもよく遭うらしい。それから、他にはこんなこともある。帆がきっちりとたたんであるのを自分の目で確かめたのに、真夜中になるといつもひらひらはためいてるんだと。その時、あいつが言った一言には、驚かされたね。
  「こん船にゃ、すげえいっぱい〈かんげ〉があってね、こいつがうるさいくらいに神経に触ってくるんじゃけんね。これまでないっていう位にな」
 あいつが一気に口に出してしまうと、俺は辺りを見回していった。
  「影がいっぱいだって、いったいどういうことだよ」そう聞いてみると、あいつは自分から説明するのが嫌だったのか、それ以上言うのが嫌だったのか、馬鹿みたいに頭を振っただけで、急にむっつりと不機嫌になったように見えた。
 わざとそんな真似をやってるってのがはっきりわかったな。事の真相はたぶん、〈かんげ〉のことをしゃべったとき、あんなふうに振舞ってしまったのが恥ずかしかったってとこじゃないかな。あの手の連中は時々、あれこれと想像をたくましくするもんだが、あいつはめったにそんなことを口に出して言ったりはしなかったよ。どっちにしろ、これ以上尋ねてもしょうがないと思って、このことは置いとくことにしたんだ。でもそれからしばらくの間、俺の頭の中には、あいつの言う〈かんげ〉というものがどういうものなのか、ずっとひっかかっていた。
 すばらしい天気と順風を享受して、俺たちは翌日フリスコを発った。おかげで聞かされていた船の奇妙な噂のことなんかどこかへ吹き飛んでしまったみたいだった。それから・・・

 男は一瞬躊躇したが、すぐに話を続けた。 

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shigeyukiさん、どうもご無沙汰しています。kaneさん、初めまして。
このところ会誌の原稿書きや地図作りに追われていましたが、ようやく一段落しました。連載翻訳、これから楽しみに読ませていただきます。

2007.01.26 23:08 URL | syna #NPhlPyRE [ 編集 ]

丁度、読み始めた物語だあ。
翻訳をインターネット経由でブラウザすると、読みにくい。ヤッパリ日本語は縦に読みたいな。 
OSもスクリプトも全部日本語の縦書きのコンピューター、誰か作ってないのかしら、、、

2007.01.27 02:55 URL | ブルーライトぺんぺん草♪ #- [ 編集 ]

 synaさん、お久しぶりです。
 こちらこそ、沙汰無くしていて、失礼していますね。
 ヴェルヌ研究会にも、入会しようと思いつつ、多少ビビってしまっていて(笑)、今に至ってしまっています。
 synaさんは、活発に行動されているようですね。
 今回の翻訳の連載は、kaneさんのものです。一応kaneさんの了解のもと、連載していますが、どこまで掲載するかは、反響次第というつもりです。もし、何か気がついたことがありましたら、知らせていただけると有難いです。

2007.01.27 21:12 URL | shigeyuki #- [ 編集 ]

ぺんぺんさん、こんにちは。
縦書きだと読みやすいのにと、僕も時々思いますが、それ以前に、ディスプレイで文字を読むこと事体が結構疲れます。延々と、自分は文章を書いておいて言うのもなんですけど(笑)。
ぺんぺんさん、イギリス在住の眼から見て、何か気が付いたところがあれば、教えてくださいね。

2007.01.27 21:16 URL | shigeyuki #- [ 編集 ]













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