Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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   ▲おそ しい!寂しい!凄い!
 

 余等よらが魔の海に囚はれてから、初めの四年といふものは何事もなく過ぎた。ただ余が余の船を包圍ほうゐした林の如き海草かいさうり開いて、外海ぐわいかい脱出ねだしやうとくはだてた危險きけんを除いては、この 四年間は寂しいながらも無事なものであつた。けれども、斯る絶海の魔所ましょに、何時いつまで永く平和な日がつづかう?果せるかな余は思ひまうけぬ新しい危險きけんを見出したのである。
 船の周圍しうゐが林の如き海草かいさうまれたことはまへに述べたとほりであるが、この海草かいさうあひだには巨大なる章魚たこんでて、と気にその怪しき頭と手とをもたげて、余等よらよらを脅かすのであつた。のみならずこの海の怪物くわいぶつ危險きけんほかに、海をおほ海草かいさうの面積が、あだか虐主ぎやくしゆ他人ひとくにを征服するが如く、見るゝゝ内に遥かな地平線までひろがるといふ恐しさがくははつてた。余はかゝところに如何なる異變いへん怪事くわいじがあつても、それは無理でないといふことを考へるようになつた。
 余は眼前がんぜんこの怪異くわいゝなる現象げんしやうを見ながら、しかも眼を閉ぢては到底たうてい是を想像さうゞゝすることはできない。また何人なんびとむかつてもこの物凄ものすご光景ありさま想像さうゞゝせよとはいはぬ。それはすべてが人間の想像さうゞゝと、あまりにけ離れた事ばかりであるからだ。
 風がしづまると余等は無限の大沈默だいちんもくつゝまれてしまふ。恐しい!寂しい!物凄もすごい!

"From the Tideless Sea"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Transrated by 阿武天風

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