Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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   ▲魔力まりよくのある怪物くわいぶつ

 余はこの不思議な出來事できごとを見て、しんから戰慄せんりつを禁ずることができなかつた。何者の所業しわざまたうしたわけか、其時そのときの余に取つては一切夢中むちうであつた。で、あたかも獵犬りやうけんに追はれた兎の如く、下甲板げかんぱん寢室しんしつに逃げ込んでしまつた。
 其夜そのよは殆どマンヂリともしなかつた。翌朝よくてう此事このことを妻に話すと、彼女かれ今更のやうに驚いて、是非ぜひ死んだ野豚が見たいといふ。そこで二人連れ立つて行つて見ると、昨夜ゆふべ死んだまゝになつて居たのが、何者なにものの鋭利なる牙でか、野豚の頭は胴から離れ、其他そのた大小だいせうの傷を無数むすうに負ふて、四脚よつあしで虚空をつかんで居た。
 かく不思議で堪らない。うなると怪異くわいい正體しゃうたい何處どこるかといふことが問題になる。そこで余は船中せんちうくまなく捜索して見たが、遂に何者なんらの怪しむべき者をも見出すことがなかつた。しかしながら頑犬ぐわんけん鐡檻てつをりを破り、獰猛だうまうな野豚をほふ手際てぎはから判斷はんだんすると、怪物くわいぶつ怪物くわいぶつ餘程よほど恐るべきものであるといふことだけは確實たしかになつた。

"From the Tideless Sea"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Transrated by 阿武天風






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