Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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   ▲疑惑の淵にしづみ行く

   晝間ひるまは何事もなくすんだが、の九時頃になると、今迄いまゝでにないおほきな音が聞えた。恰度ちやうど船の周圍しうゐを、何か思いもので無闇に打撃たたくやうなで、それが一しきり済むと、十五分間ばかりしづかになる。スルトまた不意にガタンピシンと、建物を破壊ぶちこはすときのやうな騒ぎが始まる。
 余は上甲板うへ昇降口ハツチの扉を、固く閉して終夜しうや殆んど間斷かんだんなき危險きけんと恐怖の壓迫あつはくに備へた。余がかくの如く嚴重げんぢうな用意をしたにも係らず、猶且なほかつ堪へ難い不安を感じたといふことは、やが其夜そのよ如何いかに恐しい出來事できごとがあつたかを證明しようめいしてあまりがある。
 恐怖を感じ不安に襲はれた程長いものはない。余はが明けてから、精せいしん過度くわど疲勞ひらうめに、太陽たいやうが地平線から高くあがるまで何事も知らずに熟眠じゆくみんした。やがその朝目醒めたとき、余は妻らと共に前夜の危險きけんと恐怖とを語り合つて、益ゝますます深い疑惑の淵にしづみ行くのであつた。

"From the Tideless Sea"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Transrated by 阿武天風





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