Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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II


The first ten days, aided by a fresh fair wind, took them well clear of the Channel, and Mrs. Tom Pemberton was beginning to find her sea legs. Then, on the thirteenth day out they ran into dirty weather. Hitherto, the Pampero had been lucky (for her), nothing special having occurred save that one of the men was laid up through the starboard fore crane line having given way under him, letting him down on deck with a run. Yet because the man was alive and no limbs broken, there was a general feeling that the old packet was on her good behavior.
Then, as I have said, they ran into bad weather and were hove to for three weary days under bare poles. On the morning of the fourth, the wind moderated sufficiently to allow of their setting the main top sail, storm foresail, and staysail, and running her off before the wind. During that day the weather grew steadily finer, the wind dropping and the sea going down; so that by evening they were bowling along before a comfortable six-knot breeze. Then, just before sunset, they had evidence once again that the Pampero was on her good behavior, and that there were other ships less lucky than she; for out of the red glare of sunset to starboard there floated to them the water-logged shell of a ship's lifeboat.
In passing, one of the men caught a glimpse of something crumpled up on a thwart, and sung out to the Mate who was in charge. He, having obtained permission from the Skipper, put the ship in irons and lowered a boat. Reaching the wrecked craft, it was discovered that the something on the thwart was the still living form of a seaman, exhausted and scarcely in his right mind. Evidently they had been only just in time; for hardly had they removed him to their own boat before the other, with a slow, oily roil, disappeared from sight.


*********************


2


 最初の十日間は爽やかな順風に恵まれて、チャンネル諸島が美しく見渡せた。トム・ペンバートン夫人も、船に慣れ始めている自分を感じていた。しかし、十三日目に天候は一変した。それまでは、《パンペロ》にしては幸運なことに、大したことも起こらなかった。唯一、一人の男が右舷の危険なクレーンのロープのせいで激しくデッキに引き倒され、寝込んでいたが、男は生きていたし、骨折さえしていなかったから、それはごく普通の事故にすぎず、この船に付きまとう呪いのせいなどではないように思えた。
 だが、今言ったように、天候が悪化してから三日間は、マストに帆を張ることもできず、立ち往生してしまった。四日目の朝になって、風は適度な強さにまで収まり、船を風に乗せるためのメイントップスル、ストームフォアスル、それにステイスルを張ることができた。その日のうちに天候は次第に回復した。風は収まり、海も穏やかになっていった。そして夕方までには、快適な六ノットの微風の下、順調な航海を取り戻すことが出来たのだった。さらに、日没を目前にした時、彼らは《パンペロ》がいかに優れた船であるか、その証拠を目にすることとなった。彼らほどの幸運に恵まれなかった船があったのだ。右舷方向に、赤光の夕陽を浴びて輝いていたのは、水浸しになった救命艇のシルエットだったのだ。
 そのうち、一人の男がふと、ボートの漕ぎ座の上に何かを皺くちゃにつくねたようなものがあることに気付き、大声で航海士に呼びかけた。航海士は、船長に許しを得て、船を止めて、ボートを下ろした。難破した救命艇に近づくにつれ、その漕ぎ座の上の物体は、疲れ果て、意識も朦朧としているが、まだ息のある船員であることが分かった。それは明らかに、間一髪というところだった。というのも、彼らがその男を苦労して自分達の船に移すと、もともと男が乗っていたボートは、ゆっくりと、油を散らしながら、波下へ消えていってしまったのだから。

(shigeyuki)

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おっ、今度は短篇ですか、ますます充実してきましたね。
ところで、「朦朧」が「魍魎」になっています。

2007.02.27 00:46 URL | syna #NPhlPyRE [ 編集 ]

おっと、本当だ。
指摘どうもありがとうございます。
朦朧と魍魎じゃ、かなり違いますね。
直しときます。

この短編はkaneさんも未訳作品の中では一押しなので、訳文はともかく(頑張りますが)、期待していてくださいね。

2007.02.27 19:14 URL | shigeyuki #- [ 編集 ]













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