Sigsand Manuscript

ウィリアム・ホープ・ホジスンとその周辺

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From the trenches



"What a scene of desolation, the heaved-up mud rimming ten thousand shell craters as far as the sight could reach, north and south and east and west. My God, what a desolation! And here and there, standing like mute, muddied rocks-somehow terrible in their significant grim bashed formlessness-an old concrete blockhouse, with the earth torn up around them in monstrous craters, and, in some cases, surged in great waves of earth against the sides of the blockhouses. The sun was pretty low as I came back, and far off across that Desolation, here and there they showed--just formless, squarish, cornerless masses erected by man against the Infernal Storm that sweeps for ever, night and day, day and night, across that most atrocious Plain of Destruction. My God! talk about a lost World--talk about the END of the World; talk about the "Night Land"--it is all here, not more than two hundred odd miles from where you sit infinitely remote. And the infinite, monstrous, dreadful pathos of the things one sees--the great shell-hole with over thirty crosses sticking up in it; some just up out of the water--and the dead below them, submerged. And near the centre there was one cross inscribed to "Adolphe Dehaut, tué Nov. 26th, 1917." And on the centre of the cross, lashed with a piece of cross-wire, was an empty bottle, upside down. ("Turn down an empty glass," I suppose.) Who, I wonder, was Adolphe Dehaut? If I live and come somehow out of this (and certainly, please God, I shall and hope to) what a book I shall write if my old "ability" with the pen has not forsaken me. Who, I wonder, was Adolphe Dehaut? Some day, if it please God, I'll see that at least one French soldier's name is not lost in the dreadful oblivion that, like the mud of this hideous world, falls on the dead, and they pass out, wrapped in their blanket."

****************

最前線より


 何と云う荒涼とした光景なのだろう。一万もの破裂弾によって盛り上がった泥のクレーターが、見渡す限りに広がっている。北に、南に、東に、西に。神よ、何と救いのないことか!そこかしこに、聾唖者のように立ち尽くしている泥だらけの岩があり---どれほどの恐怖が、原型を止めぬ程に打ち砕かれたその有様に暗示されているだろう---古いコンクリートのトーチカが巨大なクレーターの中で土に半ば埋もれていたり、所によっては、トーチカの傍らにまで大きくうねった大地が押し寄せていたりしているのだ。私が戻る頃には太陽はとても低く、荒涼の大地の遥か彼方を横切っていた。するとそこかしこにそれらは姿を現す---人々によって立てられた、輪郭を欠き、四角張った、角を失った一群。最も身の毛もよだつような《破壊の平原》を横切り、夜も昼も、昼も夜も、地獄の暴風が永遠に吹き荒れるその中に。神よ!ロストワールドの物語が……世界の終末の物語が……それから《ナイトランド》の物語……それらはすべてここにある。貴方がいる場所から二百マイルほどしか離れていないが、無限に遠い場所だ。そしてこの無常、醜悪さ、恐ろしい悲哀を目にする---巨大な漏斗孔の中に、三十以上の十字架が立ち並んでいる。いくつかの十字架は水の上に突き出しているが---その十字架の下に眠る身体は、水面下にあるのだ。そして中ほどにある十字架の一つには、"Adolphe Dehaut, tue' Nov. 26th, 1917." と刻まれている。十字線で強く結び付けられている十字架の前には、空のボトルがあり、口を下に向けて置かれてある(「空いたグラスは逆さまにすべきだ」と私は思う)。一体、と私は思う、Adolphe Dehautとは誰なんだろう?もし私が生きて何とか此処から戻ることが出来たなら(もちろん、どうか神よ、私はそうしなければならないし、そう望んでいるのです)、そしてその時私にかつてのように「書く力」が残されていたなら、私には書くべき一冊の本がある。誰なのだろう?私は考える。Adolphe Dehautとは一体誰なのだ?いつかもし神が許されるなら、私は少なくとも一人のフランス人の兵士の名前を忘却という深遠の向こうへ置き去りにしないでおこう。死者たちの上に降り注ぎ、包み込んでその存在をかき消してしまう、狂おしい世界の泥のようには。

***************
ホジスンが戦場より送った最後の手紙の翻訳をしてみました。
いつものように、変なところがあったら、教えてくださいね。

"From the trenches"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Transrated by shigeyuki


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shigeyukiさま、おひさしぶりです。
ホジスンの手紙ということをべつにしても何かいろいろと考えさせられる文章ですね。もし生還していればいったいどんな本を書いたのでしょう。

kane

2007.10.15 00:47 URL | #- [ 編集 ]

暫くぶりですね。
また会いましょうよ。
ジュール・ヴェルヌ研究会の例会とか、参加しませんか?

これは、短いわりに結構難しく感じて、結局さらっと訳してしまいましたが、とても好きなホジスンの手紙です。
色々と感じるものがありますね。
ここからホジスンはさらに先に進めただろうに、惜しくてなりませんね。

2007.10.15 23:25 URL | shigeyuki #- [ 編集 ]













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